#32 一般的な情報と個別の状況

M&Aに関する一般的な情報

M&Aに関する仲介やアドバイザリー会社が増えてきたことや、M&Aに関する情報を広く取得できるようになったからこそ、一般的な情報が独り歩きしているケースがあります。

 

例えば・・・

 

①少なくとも利益の5年分と純資産額との合計額で譲渡できますよ!

 

②IT関係の会社は強気の価格をつけても譲渡できますよ!

 

などなど。

 

さて、このような一般的な情報はあなたの会社にも当てはまるのでしょうか?

個別の状況で考え方が変わる

さきほど例としてあげた一般的な情報は、以下の状況によって変わってきますので、一緒に考えていきましょう。

 

①少なくとも利益の5年分と純資産額との合計額で譲渡できますよ!

 

一例として不動産に関する事業で考えてみましょう。

 

A社は不動産の売買仲介を行っている企業で、毎月の売上が安定していませんが、現状ではしっかり利益が出ている。

 

B社は不動産の賃貸管理や施設管理を行っており、毎月安定して利益があがっており、毎年契約件数も増えている。

 

さて、上にあげたA社とB社では譲渡金額の考え方が変わってきますが、感覚的にご理解いただけるところがあると思います。

 

A社はフローでの収益構造となっており、営業マンに数字が紐付いています。そのため、買収した後に営業マンの退職等により収益が悪化する可能性もありますし、なにより毎月の収益が不安定な状況にあります。企業として競争力があり、事業が標準化されている場合はそういった状況を加味して評価をすることが可能ですが、中小企業の場合はそのような評価を行うことは難しいと考えます。そのため、5年分の営業利益を積み上げることは難しく、もっと短い期間での営業利益分で譲渡価格が決まってきます。

 

他方B社の場合には安定的な収益構造となっているため、5年分あるいは内容によってはそれをこえる評価を行える可能性もあります。

 


②IT関係の会社は強気の価格をつけても譲渡できますよ!

 

さて、このような一般的な話の場合はどうでしょうか?

 

やはり事業構造をしっかりと理解することは必要ですね。webページの制作をひたすら営業力をベースにして行っているIT企業と、あるいは保守等で安定的なストック収入や、サブスクリプションモデルで安定的なストック収入を得ているIT企業とでは考え方が大きく変わってくることは、先程の説明からもご理解いただけることと思います。

 

このように、しっかり個別の事業内容や事業の状況によって評価額は大きく変わってきますので、客観的に事業の構造を理解することが非常に重要です。

一般的な情報だけに流されない

会社や事業を譲るという経験は、何度も経験するようなものではありません(連続起業家等は別ですが・・・)。

 

だからこそ様々な情報を取得し、悩み考えるものだと思います。

 

ただし一般的な情報だけに流されてしまうことは危険であり、しっかりとご自身の事業構造を客観的に評価することが重要です。

 

一般的な情報のみをもとにして評価額を出してくるようなM&AアドバイザーやM&A仲介業者ではなく、しっかりと事業構造を理解した上で評価額を出してくてるM&AアドバイザーやM&A仲介業者を選ぶことが肝要です。

 

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